目次
  1. ホームページのセキュリティ対策は責任者を決めることから始めます
  2. 事故前に決める7つの責任
  3. 自社と委託先の担当範囲を一枚で分けます
  4. 更新と権限は履歴が残る形で確認します
  5. バックアップは戻せることまで確かめます
  6. 異常は発見から連絡までを一つにします
  7. 事故時は止める、残す、知らせる順に動きます
  8. 専門会社へ進む条件を先に決めます
  9. よくある質問
  10. まとめ|七つの責任を一枚にします
  11. ホームページのセキュリティ対策に関する無料相談

ホームページのセキュリティ対策は、ツールの設定より先に「誰が、いつ確認するか」を決めると迷いません。仕組みを入れることと、壊れたときに気づけることは、別の話だからです。

この記事は、自社サイトの安全管理を任されたばかりで、技術用語に自信がない担当者の方に向けて書いています。読み終わるころには、七つの責任に担当者と次回の確認日を書き込む一枚の表を、今日から作り始められます。

ホームページのセキュリティ対策は責任者を決めることから始めます

最初に決めるのは、セキュリティ製品ではなく責任者です。どんな仕組みを入れても、壊れたことに気づく人がいなければ被害は止まらないからです。

実際にあった話を一つ紹介します。私たちが自分たちで運営しているサイトで、2026年8月末にデータの書き込み事故が起きました。公開中の記事11本のうち8本で画像15枚が表示されないまま、5日間だれも気づきませんでした。

バックアップ(データの控え)も監視の仕組みもありました。それでも、確認する担当と確認日を決めていなかった。この一点だけで、事故は5日間見過ごされました。

設定があることと、壊れに気づけることは別。これが自分たちの実測で分かったことです。

IPA(情報処理推進機構。ITの安全対策を支援する国の機関)も、中小企業向けの情報セキュリティ資料で、守る情報と担当を決めることを対策の出発点に置いています。順番は製品選びではなく、責任の置き場所からです。

事故前に決める7つの責任

七つの責任と、担当者と次回の確認日の空欄を並べた記入表
空欄の責任がどこにあるかを見つけます。

決める責任は次の七つです。それぞれに、担当者と「確認したと言える証拠」と次回の確認日を書き込みます。

表に出てくるドメイン(サイトの住所にあたる文字列)とサーバー(サイトのデータを置いている場所)。どちらも、契約先が分からなくなりやすい代表です。

責任決めること確認したと言える証拠確認の目安
1. 資産の把握契約と情報の一覧を誰が持つかドメイン・サーバー・管理画面の一覧表半年に1回
2. 更新サイトの仕組みを最新に保つのは誰か最終更新日の記録月1回
3. 管理者権限管理画面に入れる人を誰が管理するか利用者の一覧と、消した記録3か月に1回
4. バックアップデータの控えを誰が確かめるか保存先と、実際に戻せた記録3か月に1回
5. 監視異常の通知を誰が見るか通知の宛先と、見た記録週1回
6. 委託先との分担外部との役割分担を誰が持つか分担を書いた一枚の表契約更新のたび
7. 事故対応事故のとき最初に動くのは誰か連絡順を書いたメモ半年に1回

確認の目安は、「壊れてから気づくまで、どれだけ待てるか」からの逆算です。更新は毎月動くので月1回、契約は年単位でしか動かないので半年に1回、という分け方になっています。

七つに分けた理由も同じです。事故のとき、いちばん時間を失うのは「誰に聞けばよいか」を調べている間だからです。全部を今日埋める話ではありません。空欄がどこにあるか分かること自体に、価値があります。

自社と委託先の担当範囲を一枚で分けます

自社で必ず持つ項目と委託先へ確認する項目を左右に分けた表
迷う項目は窓口を一本化します。

事故のときに連絡する相手は、事故の前に決めておきます。「これはどちらの担当か」を後から調べ始めると、その間も被害が続くからです。

自社で必ず持っておくものは三つです。

  • ドメインとサーバーの契約者名
  • 管理画面に入れる人の一覧
  • 社内の連絡順(最初に動く人と、その次の人)

制作会社やサーバー会社へは、次の三つを確認します。

  • 日々の更新作業はどこまで契約に含まれているか
  • バックアップの取得と復元はどちらの担当か
  • 緊急時の連絡窓口と、対応できる時間帯

契約に入っていない作業は、事故の後に頼むと着手までに時間がかかります。依頼していない範囲こそ、事故前に確認する対象です。どちらに聞くか迷う項目が残ったら、窓口を制作会社に一本化し、分担表を一緒に作ってもらうのが早道です。

委託先へ任せる範囲そのものから見直したい場合は、ホームページ運用代行を任せる前の7基準で確認できます。

関連記事 / ホームページ運用ホームページ運用代行|保守・更新・改善を任せる前の7基準ホームページ運用代行へ任せる範囲を決めるために、保守・更新・改善の違いと契約前の7基準を解説します。記事を読む →

更新と権限は履歴が残る形で確認します

更新と権限は、口頭の「やっておきました」ではなく記録で確認します。記録がなければ、確認したつもりの放置が続いても、だれも気づけないからです。

残す記録は三つだけです。

  • サイトの仕組み(WordPressなど、サイトを自分で更新できるシステム)の最終更新日
  • 管理画面に入れる人の一覧と、アカウント(利用者ごとの入り口)を消した日
  • 確認した人の名前と日付

とくに残りやすい穴が、退職した人の権限です。人が辞めても、管理画面のアカウントは自動では消えません。消す担当が決まっていないと、退職者が今もサイトへ入れる状態が続きます。人の出入りがあった月を、一覧を見直す合図にしてください。

IPAはウェブサイトの点検に使える公式資料を公開しています。難しい項目は飛ばして構いません。更新と権限の二つだけでも、記録に残すところから始めてみてください。

更新や権限の管理を委託先へ任せる場合の比べ方は、WordPress制作会社を保守・権限・更新責任で比べる8基準にまとめています。

関連記事 / Website ProductionWordPress制作会社|保守・権限・更新責任を比べる8基準WordPress制作会社を、構築方式、権限、更新、復元、納品物、移管まで8基準の運用責任表で比較します。記事を読む →

バックアップは戻せることまで確かめます

バックアップで確かめるのは「取ってあるか」ではなく、「戻せるか」です。戻せない控えは、事故のとき役に立たないからです。

委託先へ聞くことは二つだけです。

  • どこに、何日分の控えが保存されていますか
  • 実際に戻す作業を試したことはありますか

あなたの会社では、この二つを最後に確認したのはいつでしょうか。「一度も聞いたことがない」なら、それが表の最初に埋める空欄です。

異常は発見から連絡までを一つにします

発見と判断と連絡の三つの役割に担当者名の空欄を付けた図
発見から連絡までの担当を決めます。

監視は、通知を設定して終わりではありません。「見る人」と「伝える先」が決まって、初めて機能します。通知が届いても見る担当がいなければ、無いのと同じだからです。

冒頭の私たちの事故が、まさにこれでした。画像15枚が表示されない状態は、見る担当と確認日が空欄だったために、5日間だれの目にも入りませんでした。対策の道具は揃っていたのに、「気づく責任」だけが決まっていなかったわけです。

決める流れは三つです。

    1. 発見 — 通知や定期確認を誰が見るか
    1. 判断 — 異常かどうかを誰に聞くか
    1. 連絡 — 誰へ何を伝えるか(サイト名・気づいた日時・見えている症状)

特別な道具がなくても、週に1回、実際のページを自分の目で開くだけで発見は速くなります。見る日を決めれば、気づくまでの時間に上限ができます。

事故時は止める、残す、知らせる順に動きます

事故時に止める、残す、知らせるの順で動く段と、先に元へ戻すことを禁じる印を並べた図
直すより先に、止めます。

事故のときは、直すより先に止めます。原因が残ったまま元に戻すと、同じ被害が繰り返されるからです。

    1. 止める — サイトの公開を一時停止するか、被害箇所を切り離す。作業は制作会社かサーバー会社へ依頼する
    1. 残す — 画面の記録(スクリーンショット)と、いつ何が起きたかのメモを残す。飛ばすと原因を調べられなくなる
    1. 知らせる — 社内の責任者、委託先の順に連絡する。個人情報が漏れた恐れがあるときは、国の窓口である個人情報保護委員会への報告が必要になる場合がある

専門会社へ進む条件を先に決めます

次のどれかに当てはまるサイトは、「制作会社だけで抱えない」と先に決めておきます。

  • 氏名や住所など、個人情報をフォームで受け取っている
  • サイト上で決済(支払い)ができる
  • 会員だけが入れるページがある
  • 改ざん(サイトの中身を勝手に書き換えられる被害)など、被害の兆候がある

制作会社の受け持ちは、サイトを作ることと日々の運用です。弱点を専門的に調べる検査(脆弱性診断)や事故後の調査は、セキュリティ専門会社の領域。扱う情報が重いサイトほど、切り分けは早いほうが安全です。

どれにも当てはまらない紹介中心のサイトなら、急いで診断へ進む前に、まず七つの責任表を埋めましょう。更新とバックアップの確認が整うだけでも、事故の多くは小さいうちに見つかります。

よくある質問

SSLを設定していれば安全ですか?

SSL(通信を暗号化する仕組み。URLが「https」で始まります)は土台の一つで、それだけでは安全と言えません。SSLが守るのは通信の中身だけです。更新の放置や残ったままの権限は、別の穴として残ります。七つの責任の一つ、という位置づけで考えてください。

WordPressは危険と聞きましたが本当ですか?

WordPress自体が危険なのではなく、更新されないまま放置された状態が危険です。利用者が多いぶん攻撃の的になりやすいだけで、更新の担当と確認日が決まっていれば、過度に恐れる仕組みではありません。

セキュリティ対策の費用はどれくらいかかりますか?

対応範囲で大きく変わるため、一律の金額は言えません。先に七つの責任のうち、どれを社内で持ちどれを外部へ頼むかを決めると、同じ前提で見積もりを比べられます。この記事の表を作ること自体は、費用ゼロでできます。

脆弱性診断はすぐに受けたほうがよいですか?

個人情報や決済を扱っているかで分かれます。扱いがあるなら、早めに専門会社への相談を検討してください。紹介中心のサイトなら、更新・権限・バックアップの確認を整えるのが先です。

まとめ|七つの責任を一枚にします

ホームページのセキュリティ対策は、七つの責任に担当者と次回の確認日が入った一枚の表があれば、専門知識がなくても前へ進められます。

  • 資産の把握 — 契約と情報の一覧を持つ人が決まっている
  • 更新 — 最終更新日を確認する人と日が決まっている
  • 管理者権限 — 入れる人の一覧を見直す人が決まっている
  • バックアップ — 戻せることを確かめる人が決まっている
  • 監視 — 異常に気づく人と見る日が決まっている
  • 委託先との分担 — 役割の表があり、確認した日が残っている
  • 事故対応 — 最初に動く人と連絡順が決まっている

最初の行動は一つだけです。いま分かる範囲でよいので、サイトの契約先と緊急時の連絡先を紙に書き出してください。書けなかった欄が、あなたの会社の空欄の責任です。そこから一人ずつ、担当を決めていきましょう。

ホームページのセキュリティ対策に関する無料相談

ホームページのセキュリティ対策で多くの会社が止まるのは、「どれを社内で持ち、どれを委託先へ確認するか」の切り分けです。無料相談では、現在のサイトを見ながらこの切り分けを一緒に整理します。

サイトの更新状況、管理画面の権限、バックアップの状態は、現在の設定を確認したうえでご案内できます。

サーバーの設定変更をともなう作業は、契約内容を確認してからお答えします。脆弱性診断や事故の調査そのものは、専門会社の領域のため当社では行いません。補助金申請や法務の判断、翻訳証明が必要になった場合も、それぞれの専門家へおつなぎします。ご相談では、専門会社が必要かどうかの切り分けまでをお手伝いします。

何から聞けばよいか分からない状態のままで構いません。七つの責任表を、一緒に埋めるところから始めましょう。